ノンプログラマだけど Code for 日記

プログラマーじゃないけど Code for Japan / Tokyo の中の人が、IT×課題解決に取り組む界隈を勝手に綴る、完全なる非公式プログ.

浪江町 タブレット活用 アイデアソン @福島 vol.1

振り返りながら書いています。

浪江町住民のタブレット活用を考えるアイデアソン@福島 vol.1」
です。

公式の詳細はこちらから

 

浪江アイデア&ハッカソンシリーズについて

全町民の避難が続く浪江町で、町民全戸に配布するタブレットを使って絆を再生させたい、という町の要望を受け、全6回のアイデアソン+2回のハッカソンでプロトタイピングを行うシリーズです。

その第1回は、浪江町に近い福島県二本松での開催となりました。

町役場が二本松に移転していることから、ある意味で地元での開催です。

  

このシリーズ、個人的にスタッフ枠と一般枠の交互で参加しました。

「住民や一般の人を巻き込んプロトタイピング」がテーマなら、一参加者として参加した方が、より成否功罪が分かるんじゃない?と思ったからです。

 

実際のところ、このプロトタイピングを含めた「浪江町フェローシップ」という一大企画に、Code for Japanは多大なリソースを割かれ、他のことが全部ストップしてしまうことになります。

今となっては、戦力の逐次投入や多方面展開に陥らず、一点突破的に取り組めたという利点もありつつ、浪江にコミットしてない人のロイヤルティを下げることにもなったかなと、個人的には思います。

というのは非公式ブログゆえに書けることですが、それでも現有戦力の限界に挑むがごとくの取り組みは、してみて正解だったと言えるかなと。

どんだけ余力が残ってないかというと、このシリーズに関する実況記事が公式ブログには一本も載ってないっていう、記事を書く余力が誰にもないまま終わってしまったという、これは非常に勿体無いのですけど、そういうことです(それで今さら備忘録のように書いている。

 

さておき、初回に当たるこの福島アイデアソンは、その後を占う重要な位置づけにありました。開催を事実上の地元である二本松に設定して町民の参加を促し、仕切りは豪腕ファシリテーターの矢吹さんを起用。
結果としては、地元のテレビ局の取材も入り、天候にも恵まれ、終わってみれば上々の滑り出し。

 

いくつか種明かし:

実は、この日に先立ち、町役場の人を対象に第ゼロ回のアイデアソンを実施してます。

そこで進行や成果物の確認(リハーサル)をしたわけです。

成果物となるアイデアシートは、一般の回と同様にネットで公開されていますが、結果を見ると上々。ここで出たアイデアがサンプル事例として後の回で使われることもありました。

常在実戦、一歩一歩が糧となる。最短距離を行かねばならない制約はいいですね。無駄をとことん省いてくれます。

 

また前週に当たる5/18、アイデアソンのやり方と学ぶ」というワークショップを開催しました。


【ワークショップレポート】5/18開催アイデアソンのやり方を学ぶ #codeforjapan ... | Code for Japan - ともに考え、ともにつくる

テーマもズバリ浪江町の課題解決で、これもスタッフ側としては一種のリハーサルとなったかなと思います。ワークショップは月一回の開催ですが、タイミング的にもベストでした。

 

今回のシリーズを通して使われた手法は、一般にはデザインシンキングとも呼ばれるものです。中でも、みんなで同時進行的に個々のアイデアをブラッシュアップさせていくことに主眼が置かれます。

個々のアイデアは、最終的にタイトルと3行程度の趣旨で構成される「アイデアシート」に落とされますが、その前に「アイデア交換」を複数の相手と行います。

2人1組になって、時間を決めて、自分のアイデアを披露して感想を貰い、逆に相手のアイデアを聞いて感想を返す。ということを相手を変えて複数回繰り返します。

結果、多様な視点からのフィードバックが得られ、相手のアイデアを自分のアイデアに掛けあわせたり、相手のアイデアに着想を得て自分なりにアレンジしたりという、二次創発も生まれます。

初回においては「ペルソナ設計」も重視されました。事前に実際の避難町民にインタビューをして類型化を行い、「避難所で暮らす老夫婦」や「都会に移転したファミリー」などを提示、その中から特定のペルソナを指定し、制約条件の中で「タブレットを活かした絆再生」のアイデアを出してもらうというものです。

2回目以降は、この制約はやや優先度が下がりましたが、この回は実際の避難民がシリーズ中で最多を記録した回でもあり、「避難所で暮らす老夫婦&みんなの相談役」の設定が上手く嵌った感があります。

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その他、ペルソナ設計の詳細は下記を参照ください。

 

最後に、各自が書いたアイデアシートを机に並べて、参加者全員でいいと思ったものに投票します(実際は☆や◯のマークを付けてもらう)。その合計数が多いものが、前に呼ばれて発表の機会を得られます。そこから更に深堀りする回もありましたが、初回はアイデア発表の時点で、タイムアップとなりました。

面白いのは、選に漏れてもどうしても発表したい!という場合は自薦他薦で手を上げることのできる「情熱枠」があることです。これも初回は、☆の数だけでの選抜方法となりましたが、全員で決めると、どうしても尖っていたり、説明下手な理由で、消えるアイデアが生まれますので、個人的には情熱枠はオススメです。

とは言え、初回はあれもこれもと欲張らずシンプルにしたのは良かったです。

 

実際の会場の進行風景は、下記の動画で把握できると思います。宜しければご参照ください(3分程度の長さなので出来たら全編見てください)。


Code for Japan | Code for Namie アイデアソン 2014 - YouTube

 

振り返り

初回となる@福島アイデアソンでは、住民の方とのグループディスカッションも有意義でした。

個人的には、そこで聞いた「ペットの問題」が耳に残ったので、それに関するアイデアを広げてみましたが、 残念ながら大きく選に漏れ。

代わりに「複数の避難所や避難先で同時多発的に飲み会を開く」のに使うアプリの案が、全体で2位の☆取りとなりました。

まあなんというか、自分で推したいものと、世間の評価は必ずしも一致しないというやつですね。

 

避難民の方と直接話が出来たのは、収穫でした。シリーズを通して痛感するのは、当事者じゃないと分からない痛みや課題の在り処があるってことです。

ホント「勉強してテストの点を取った人が頭で考える」ことを現実は軽く追い越しています。持論を開陳する時間があったら、人に聞くことを優先する方がいいと思いますね。

 

「アイデアシート」☆取り上位

選抜1

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選抜2

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選抜3

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選抜4

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その他、当日のアイデアシートの一覧です。

※以降の浪江アイデア&ハッカソンシリーズ はこれからアップです。