ノンプログラマだけど Code for 日記

プログラマーじゃないけど Code for Japan / Tokyo の中の人が、IT×課題解決に取り組む界隈を勝手に綴る、完全なる非公式プログ.

助成金5000万円! Google インパクトチャレンジにチャレンジしよう。

Googleインパクトチャレンジ 5000万円+google技術者の人材支援が、4団体に!

Googleインパクトチャレンジ

予想外に?話題になっていないような気がしますが、GoogleさんがNPO法人などを対象に、「Googleインパクトチャレンジ」という超大型の助成プログラムをスタートさせてます。

この助成は、過去にインド、ブラジル、英国、米国、オーストラリアで開催されており、日本で6ヶ国目となる国際プログラムです。
当然ながら、受賞者やチャレンジの結果は全世界で共有されます。つまり、日本発の課題解決が、世界に届くというわけです。何というかwktk。てか金額ハンパない。 

こちら、今週の金曜が応募の締め切りです。
本稿を書いている今が水曜の夜なので、残り2日と少々しかありませんが、まだ間に合います!

なぜなら、事業プランの完成度より、課題の提示と解決アイデアが決め手となるコンテストだからです(と非公式だから言ってしまう)。


「この世にそんな課題があったのか?」「そんな解決策(技術の使い方)があったのか?」
という、驚きや新鮮さを、世界が待っています。

しかし、実際に応募をするには、知っておいて欲しい「勘所」が幾つかあります。このエントリーでそれをシェアしたいと思います!

少し長くなりますが、諸々確認して頂ければ幸いです。

 

そもそも「Google インパクトチャレンジ」とは?

Google インパクトチャレンジは、国際横断的に実施されているプログラムです。その趣旨は「テクノロジーの活用を通じ、社会問題の解決にチャレンジする非営利団体を支援する」ことにあります。

そして、そのために必要な「アイデア」を募るキャンペーンです。

イデアを実現させるために必要な戦略やマネジメントの詰めは、googleさんが協力してくれます。技術支援も行われます。資金は5000万円が提供されます!

あなたに求められているのは、今そこにある知られざる課題と、それを解決できるかもしれない「現場発の独自アイデア」です。

過去の受賞例を見ると、本当にアイデア一発の事例もあります。実績がなくても、臆することはありません!

 

とは言っても技術に詳しくない場合、「テクノロジーの活用」と言われてもピンと来ないかもしれませんね。

そんな時は、技術に詳しい人や組織や会社を味方に付けましょう。「パートナー・チームビルディング」というやつです。これはgoogleさんも強く推奨しています。
※僕が所属するCode for Japanも選択肢になりえます。

 

この件を、googleの担当者さんに伺ったところ、オーストラリアの受賞者(Australian Indigeneous Mentoring Experience)が、最も分かりやすい例ではないかと紹介されました。

ミッションを達成するために、外部からのリソースを活用して、スケーラブルなアイディアを提案した事例です。

・ミッション:先住民バックグラウンドの学生の高校卒業率の改善、就職活動のサポート。

・プロジェクトアイディア:理数学を学べるオンラインゲームの開発
 ★ゲーム会社へ技術開発を委託・文部科学省と共同でコンテンツを開発

・目標:3年間で 10,000 人以上の先住民バックグランドの学生とのオンラインゲームを使用する機会を作り、理数学への関心を向上させる

詳細はこちらのセミナー動画で解説されています。


Google インパクトチャレンジ セミナー 2014 年 12 月 8 日 --- Google Impact Challenge Japan: seminar December 8, 2014 - YouTube

 

で、何でこの記事書いてるのか?

これは本筋じゃないので軽く流しますが、

実は上の動画のセミナーにデベロッパ枠で参加しまして、というか実際はその場で無茶振り受けて参加者の相談役的なことをやったのですが、それで、そこはかとない連帯責任感が出たことと、

その場での質疑や、さらにその後日の個別相談会で、思ったよりも取りまとめが難航したので、これはちょっと、情報整理のガイドが要るなってことと、

プログラムの申請フォームが中々の優れものだと感嘆しつつも、それを使いこなすのには勘所があるなってこと、

担当者が助けてあげたいタイプだったこと(苦労がハンパないのが見てとれて)

さらに加えて、日本のNPOにもっと頑張って欲しい、もっとITを活用して欲しい、恩恵に預かって欲しいという勝手な思い。そこは日本財団の山田さんやサポートセンターの笠原さんを見てて、かねてより。

という3点セット(プラス2)で、最後に時間もない中、誰か一組にでも参考になる情報を渡せればいいなと思って、書いております。

 

インパクトチャレンジは申請フォーム自体がキモである!

はい、半分はこれが言いたくて書いております。

何を隠そう、インパクトチャレンジは申請フォーム自体がフレームワークになっており、これを漏れなく埋めることで、社会的にインパクトのある事業計画を創発できるのです(と勝手に思っている)。

申請フォームの内容は、下記から参照できます。
https://impactchallenge.withgoogle.com/japan/apply

 

フォームには4つの柱があります。これを整理すると、
インパクト=テクノロジー☓(革新性☓応用性☓実現性)」です。

そして、ここに個人的な解釈と勝手アドバイスをぶっこみます。

1、インパクト=社会的な悲劇を、直線的に解決する。
 ・許すことのできない課題と目指す改善結果を数値で示し、2つを繋ぐストーリーを直線(最短距離)で描きます。その直線と角度がインパク
 ・シンプルかつストレートに、世界が変わる前と後とを対比させましょう!

 

2、テクノロジーの革新性=技術そのものに限らず、既存の技術の「使い方」の革新性です
 ・事例/録画録音アプリを殺人現場で使う発想性。テクノロジーの使い方自体がインパクト。
 ・同点の場合はここの点数で決まる最も大事な部分。ワンフレーズで言い切りましょ!

 

3、テクノロジーの応用性=誰にでも使える=脱属人、仕組み、ユーザー本位、巻き込みなど
 ・専門家に限らず、どこにでもいる普通の人が参画することで規模が広がるインパクト。
 ・そこにストーリーが生まれます。扉を開くストーリーを語りましょう!

 

4、テクノロジーの実現性=専門性を持ったチームビルディング
 ・技術には、素人が出来ないと思うことが簡単に出来、出来ると思うことが難しい面があります。
 ・技術的な部分は専門家に任せ、現場で着想したアイデアを優先させましょう。

こうして申請フォームを攻略すると、対象が持つ課題のコアや、それに対して何が出来るかという自分たちのコアが露わになります。

 

例えば、相談会を行った「産後ケア」の支援を行うNPOさんの場合、産後ケアの本当の課題とは、妊産婦自身に産後ケアが必要だという認識がなく、支援が行き届かないことでした。

結果、日本ではゼロ歳児が、全世代を通じて「殺される」数が最も多い年齢になり、多くは追い詰められた母親が我が子を殺すという衝撃的な事実が残ります。

例えばそこにフォーカスするなら、その数を減らすことが、明確な数値とストーリーになるでしょう。もちろんフォーカスポイントは複数あります(上記の場合も異なるフォーカスで応募予定です)。フォーカを絞って、どこがコアになるのか、削っていくこともあるでしょう。

 

インパクト」の正体とは?

今回の企画名称にある「インパクト」には、悲劇の解決、テクノロジーの使い方、広がる、という3つの要素が見られます。そこにチャレンジしていく企画であると考えます。

・悲劇とは、「知られざる課題」で、その真因と解決策はワンセットです。
・テクノロジーとは、「使い方の新発見」で、科学技術の応用の創案です。
・広がるとは、「世界に繋がる」で、地域や国境を超えた成果のシェアです。

名称が「インパクトチャレンジ」ですから「インパクト」は避けて通れません。

驚かせるポイントを3つキッチリ用意しましょう。

 

どうやって選ばれるのか?

まず、内部審査により、10 団体が「ファイナリスト」として選抜されます。そして、その中から応援したいプロジェクトを選ぶ一般投票を募ります。
これが3/16〜3/26に行われる予定です。

そしてその2週間後(4/9頃)に、審査員が一般投票の結果と合わせて審査し、4組の受賞アイデアを決定します。内訳は、一般投票で1団体、審査員によるものが3団体ということです。

また、Google インパクトチャレンジの日本での展開にあわせ、テクノロジ-を活用した女性支援の取組みを表彰する「Women Will」賞が新たに創設されます。

つまり、一般投票の最多票は無条件で5000万円を獲得。Women Will賞が1団体。残り2つはノンジャンルで選ばれる、ということになります。

審査員は、下記の6名です。

内閣総理大臣夫人、安倍昭恵
MITメディアラボ副所長の石井裕
・宇宙飛行士の野口聡一
・Change.org日本代表のハリス鈴木絵美氏
Google.orgディレクターのジャクリーン・フラー氏
・グーグル株式会社執行役員岩村水樹

彼らによって3団体の受賞が決まりますので、審査員による採点の考慮は、対策上の必須です。

そこで内訳を見ると、男女半々という適度なバランスです。逆に言うと女性が3人いるわけですから「女性に共感される」ことが必要です。男性が多いスタッフの場合、応募文の作成やチェックに女性目線があると良いと思います。

また、安倍さんや野口さんはITの専門家ではないと思われます。技術的に専門的な事を書いても伝わらないかもしれません。

片や、石井さんやGoogleの2人はITに詳しいと思われ、ハリスさんも元大手コンサルからネット署名サービスの日本版を立ち上げた人です。夢想的なことは通じないかもですが、逆に彼らをして「その発想はなかった!」と言わせることが出来れば、非常にポイントが高いのではないでしょうか(個人的な見解です。またそもそも一次の内部審査に残ることが前提となりますが)。

特に今回、女性のチャレンジが期待されていることから、Women Will賞に漏れたとしても、女性による取り組みや、女性支援に対するアイデアが、高い評価に繋がる可能性があります。それに合致する団体の方には、是非、応募にチャレンジして頂きたいと思います。

Women Will 特設ページ

まとめ:インパクトチャレンジとは?

過去の事例も踏まえて意訳をすると、「圧倒的な悲劇を解決するため、テクノロジーの使い方を創案し、スケールさせて社会を変える」こと。

そのために、googleの人材などの専門家と5000万円の資金を迎え入れ、誰もが使える仕組みのパイロット版を作り、受益者を含めた全員でその試みにチャレンジする。

そうしたアイデアに対して審査がされるプログラムだと考えます。

 

大事なポイントは「誰にでも使える」ことです。「検索」が誰にでも簡単に使えるインフラであるように、全ての人が技術によって恩恵を受ける世界が、今後の社会が目指し、求められるものとなります。

地域と世界の間には、言語や文化の壁があります。しかし、テクノロジーはダイレクトに、国境も民族も言語も文化も飛び越えます。
これは「Codeは世界共通」を掲げるCode for のスタンスと同じものです。

 

日本は、課題先進国とも呼ばれます。しかしここで生まれた解決策が世界に波及しない「特殊解」では残念です。それこそが「課題」となってしまいます。

「日本=課題先進国」論には、特殊解の量産を伴う可能性すらあります。
それを打破するためには「誰でも分かる、出来る、参加できる」に磨きを掛けることが重要です。

世界は誰もが使える「一般解」を待っています。

今回の「Google インパクトチャレンジ」は、技術の使い方を通じ、世界に広がる解決手段が日本から生まれる期待感に満ちています。

是非、腕試しにエントリーを検討ください。

 

よくありがちな誤解

応募サイトにも「よくある質問」はありますが、非公式を活かして本家で書けない所まで踏み込んで書いておきます。

まず、この企画は「ビジネスコンテスト」ではありませんので、集客方法や広告プラン、収益性や組織力などを過度に気にする必要はありません。

収益性も無視していいです(そもそも書く所もあまりないけど)。


ただ、審査員の欄にも書きましたが、空想的なものはNGです。お金が出る以上は、必ず形になる確度がいります。

もし自分の知識に欠けている部分があれば、その領域の専門家と組み、アイデアをより現実的なプランにすると良いでしょう。

 

気を付けて欲しいのは「あれは出来ない」「あれはお金が掛かる」という先入観です。それでアイデアをボツにしてしまうのは勿体ないです。

誰も見たことがない空想的な技術は困りますが、今あるもの、カメラとか顔認識とか音声技術とか、は「組み合わせと使い方」の問題です。それはほぼ確実に「何とかなります」。臆せずに、使い方の発明をして下さい。

逆に、よくあるWEBサイトのようなものは、よほど使い方に斬新性がないと「インパクト」がないように思います。

 

分かりやすく言うと、今ある当たり前の技術を使って、目の前の課題に何が出来るか、頭を捻ってみようっていうことです。IT業界だと「枯れた技術」ってやつです。

どうせ「今の最新技術」なんて3年後には枯れた技術に成り果てるので、無理して最新を追う必要はありません。もちろん、新しい技術が出てきたことで初めて可能になることもあるので、絶対ということではありません。

 

以上、自分は審査員ではありませんが、自分が審査員であれば、あるいはgoogleの当プログラムの開発者であれば、どう考えるか?また実際に、運営担当の方と意見交換をしながら、このような結論に至りました。

 

最後に、Code for Japan は一般社団法人ですので、主体としての応募資格はありませんが、技術支援パートナーとして、このキャンペーンに参加します。

説明会でも相談役を行いましたので、何かご質問があれば出来る範囲で(それは公式ではなく個人的なスタンスになるかもしれませんが)、お答えします。

下記のアドレスからメールを頂ければと思います。
info@code4japan.org

 

追記1:
過去の受賞事例が応募サイトで紹介されています。参考になるので、是非ご覧ください。どれも驚くほどストレートに課題を切り取り、シンプルな解決策を提示し、環境が揃えば一気に規模が拡大していくスケールを感じさせます。

※リンクが飛ばないので別記事にしました。

The Fred Hollows Foundation (AU)
糖尿病による失明を防ぐための低コストのモバイルカメラ

ZSL(UK)
野生動物保護に貢献するスマートカメ

Agastya (India)
>地方の子どもたちに教育の機会を提供するバイク便サイエンスラ

Geledés Institute (Brazil)
ドメスティック バイオレンス(DV)から女性たちを守る

Center for Employment Opportunities (US)
元受刑者の社会復帰支

 

追記2:
応募資格は、特定非営利活動法人公益法人社会福祉法人のいずれかの法人格を有していることが条件です。この条件により、応募を諦める団体も多いのですが、これはグローバルな基準であるため、変更が効かないとのことでした。

ただパートナー・チームビルディング」の重要性はgoogleさん自身が言っているので、他のNPO法人と組んで、エントリーすることは可能です。

ホント、荒削りでもいいので、社会を変えるアイデアを出してみて下さい!

Google インパクトチャレンジ 公式サイトは下記からどうぞ!